もう医局を辞めたい!嫌なことがいろいろあって頭がぐちゃぐちゃだー!!
医局をやめようか考えている医師の皆さんの中には、いろいろと考えることがあり頭の整理をつけるのが難しい状態の方もいることでしょう。
いろいろな思いが錯綜しているところかとは思いますが、感情的になって焦り、勢いで退局を決断すると後悔することになるかもしれません。決断を急ぐ前に、一旦冷静に以下のポイントを考慮しましょう。
退局を考える際のポイント
頭に「退局」の文字が浮かび始めたら、まずはその退局しようかと考えた理由からしっかりと考えてみることが大切です。なぜ医局を辞めたいのかについて気持ちを整理することは、自分の人生を見つめ直したり将来のキャリアにつながったりするためとても重要なことです。
なぜ辞めたいのか理由を明確にする
まず最初に、退局したい理由を明確にしましょう。退局の動機が明確でないまま進むことは、後悔の元となる可能性があります。頭で考えてさっぱりしない場合は、紙に書いてみると文字通り一目瞭然になるのでおすすめです。
例:人事異動が多すぎる、人間関係でストレスが多い、雑務が多く自分のやりたい仕事ができない、シンプルに給料が低い‥‥など、理由は複数個、具体的に挙げてみましょう。
退局後のキャリア目標を設定する
退局後にどのようなキャリアを築きたいのかを考えることも大切です。これは、ひいては自分の人生を考えることにもつながります。お金や時間以外にも、退局すれば実現できることや得られるものを明確にしましょう。そして、それらの優先順位をつけてみましょう。短期的に一番最初に実現させたいことと、長期的に実現させたいことを分けてみるのも良いでしょう。(例:短期目標は時間の確保、長期目標は開業など)
ここでも、専門分野を活かしたい、総合的に診療したい、独立して開業したい、家族や趣味の時間を大事にするため仕事はセーブしたいなど、できる限り具体的に考えてみましょう。
冷静に現状を再評価する
少し冷静に現状や自分の気持ちが整理できた段階で、再度退局について評価し直すことも大切です。退局の理由がそこまで深刻でない場合や、次の医局人事でなんとかなりそうな場合は、もしかしたら退局を急ぐ必要がないかもしれません。
また教授によって、これまでの雰囲気がガラッと変わったということはよくあるようです。教授との折り合いに悩む方で教授の定年が近い‥という方は、待ってみても良いかもしれません。退局と、退局以外の選択肢について冷静に検討し、慎重に判断しましょう。
実際の退局までの道筋
いざ退局の意思が固まったら、実際には以下のステップで進んでいくと良いでしょう。
退局の通知の順序を厳守する
退局を伝える順序は
医局長→教授→直属の上司や同僚など
の順が良いでしょう。
最初に口を滑らせて同僚などに伝えてしまうと、噂が上層部の医師に広まって、事前に対策されたり円満退局が難しくなったりする可能性があるので注意が必要です。
納得できる退局理由を説明する
退局の理由は、激務や低い給与などネガティブな要素に焦点を当てがちです。自分の中にそれらの要素が強いのは仕方のないことですが、ここは面接と一緒です。本音の理由のほかに、建前の前向きな理由が必要です。
それに理由が「医局の不満だけ」では、待遇改善させるから退局を思いとどまるように言われるでしょう。退局理由に前向きな要素と、医局側の努力ではどうにもならない要素も組み込むことで、円滑な退局が実現しやすくなります。
医局以外の理由の例
・結婚や出産で実家の近くに引っ越す。
・親の体調が悪く介護をしなければならない。
・親戚のクリニックを継ぐことになった。
必ずしも今本当に起きていることでなくても構いませんが、明らかな嘘は突っ込まれた時にボロが出るので辞めましょう。
相談ではなく報告!退局の決意をはっきり伝える
円満な退局を果たすためには、はっきりと退局の決意を伝えましょう。「退局しようかなと思っている」「退局を考えている」などの曖昧な表現や「悩んでいる」といった相談の言葉では、引き止められる可能性が高まります。
これまでのステップで退局の決断は確定しているのですから、「退局しますので、手続きを教えて下さい」とか「次の勤務先が○月に決まりました」といった具体的な表現を用いて、あくまで退局を“報告する”スタンスを貫きましょう。
特に勤務先を確定させてからの退局報告は、医局で残り期間働くとしても期限が決まっているためおすすめです。
悲しいことに、若手医師は特に退局報告をしてから実際に退局するまでの間、教授などから冷遇や嫌がらせのような勤務をさせられることはよくあるようです。後述しますが、退局を伝える時期は3か月前頃が限度かもしれません。
過去の退局経験者のアドバイスを参考にする
同じ大学や、できれば同じ医局を退局した経験がある同僚や先輩からのアドバイスや実体験を聞く機会があれば、大変心強いでしょう。また、転職サイトのコンサルタントも意外と良いアドバイザーになるかもしれません。これまでの経験で、退局し転職した医師の話などが聞ける可能性があるので、聞いてみても良いでしょう。
人員が増える時期に退局する
円満な退局を果たすためには、通常では3月の年度末が適しています。なぜなら、この時期は医局に新しい医師が採用されるタイミングだからです。人員が少ない時期に退局すると、問題が生じやすく、「君がいないと業務が回らない」「患者さんにも多大な迷惑がかかる」など言われる可能性が高まります。
実際これらは引き止めるための文句としていつでも言われる可能性がありますし、本来そういった人員不足を調整するのは上層部の仕事ですから、気にしないでいきたいところです。とはいえ医師は責任感が強い方が多いですから、難しいかもしれませんが。
医局の人事は通常の企業とは異なり、秋頃に決まります。理想的には、退局の半年前に報告すると人事に影響も出ず良いとされています。実際は3か月前に報告すれば十分でしょう。
先述した通り、早ければその分退局報告〜実際の退局までの期間が長くなり、医局からの冷遇に耐える期間が延びます。実際、若手〜中堅医師で退局を“相談”したばかりに引き止められて、簡単に移動できない田舎の外病院にすぐ飛ばされ、家族と過ごす時間も取れずに体調を壊した医師を筆者は知っています。
上記の彼はその後休職期間を経てようやく退局できましたが、その対価として自分の体調を崩すことになったのは同情しますが少し勿体無いように思います。やはり退局は相談ではなく報告のスタンスを崩さないことが大事なのだろうと思います。
卒業という意識を持つ
無事に退局報告をし終えたら、これまでお世話になった同僚や上司に感謝の意を表すことも、円満な退局には必要です。複雑な思いもあるかもしれませんが、これまで医師として様々な知識や技術を教えてもらったのもまた事実でしょう。
医局を退局する際には、それを卒業と捉えることが大切です。長い間医局で学び、経験を積んできたことに感謝し、次のステップへ進む意気込みを持つことが、円満な退局の最終目的と言えます。
これらのステップを追うことで、きっと円満な医局の退局が実現し、次のキャリアに向けてスムーズなスタートを切ることができるでしょう。一人でステップを進めていくのに自信がない場合は、転職サイトのコンサルタントの力を借りても良いでしょう。きっと親身になってアドバイスをくれます。おすすめの転職サイトを紹介している記事もあるので、参考にしてみて下さい。
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